まず決めるべき「目的地」の数値化戦略

私と同じように不動産投資に興味はあるけど何から手をつけていいか分からない初心者の方の力になれたらと思っています!
不動産投資初心者オーナーの山本です。
前回のコラムでは、私のような「ド」がつく初心者が最初に取り組むべき3つのステップ、の重要性をお話ししました。
「将来のため」とか「お金持ちになりたい」という漠然とした願望だけでは、物件選びや融資戦略で必ず迷子になります。
今回は、前回のコラムで触れた3つのことの1つ目ステップ「具体的な目的地」の数値を決めるという作業が、いかにあなたの不動産投資の成功を左右するのか、そして具体的にどんな数値を設定すべきかを、私の経験を交えながら徹底解説します。
なぜ、「数値化」しないと失敗しやすいのか?
不動産投資は、金額が大きいがゆえに、感情や直感に流されやすい側面があります。
例えば、利回りが高い(儲かりそうに見える)物件を見つけたとき。もし具体的な目標数値がなければ、「なんか良さそう!」という雰囲気だけで突っ走ってしまいがちです。
しかし、物件の「良さ」は、あなたの「目標」との相性で決まります。
目標がない場合:「利回り10%!買いだ!」→ 実際は、老朽化による多額の修繕費や、融資期間が短すぎて手残りがほとんどない…という落とし穴を見落とします。
目標がある場合:「目標の年間キャッシュフロー120万円を達成するには、この物件で本当に大丈夫か?」と、冷静に立ち止まって計算する基準が生まれます。
「数値化」は、あなたの感情を排除し、合理的な投資判断を下すための強力なフィルターとなるのです。
2.設定すべき3つの重要数値:「GOAL」「FUND」「TIME」
私が不動産投資のプロの方に教わり、最初に具体的に決めたのは、以下の3つの数値でした。
これを「不動産投資の三種の神器」と呼んでいます。
1. GOAL(目標とする収益):「いつまでに」「いくらの手残り」が必要か?
これが最も大切です。単なる家賃収入ではなく、全ての経費とローン返済を引いた後に、あなたの手元に残るお金(年間キャッシュフロー)を決めます。
設定のヒント:
・「いつまでに」:5年後、10年後など、時期を明確にします。
・「いくら」:例えば、「退職後の生活費として月10万円欲しいから、年間120万円」と明確に設定します。
注意点:現実離れした高すぎる目標はNGです。
今のあなたの属性や自己資金で「頑張れば手の届く」レベルに設定しましょう。
この数値が決まれば、「この物件の予想年間キャッシュフローは100万円だから、目標に20万円足りない。
では、もう一部屋買うか、より手残りが増える物件を探そう」という具体的な行動につながります。
2. FUND(投資に使える資金):「自己資金」と「借入希望額」の限界
投資できる資金の限界値を明確にします。
初心者がもっとも怖がるのは「借金」ですが、不動産投資では良い借金(レバレッジ)が必須です。
設定のヒント:
・自己資金の上限:貯金のうち、緊急予備費などを残して「最大でいくらまで出せるか」を決めます。
これには、物件価格の頭金だけでなく、諸費用(登記費用、仲介手数料、税金など)も含まれます。
・借入希望額の目安:自己資金と購入したい物件価格から逆算し、「金融機関に〇〇百万円の融資を依頼する」という目安を立てます。
注意点:自己資金を全て投じると、予期せぬ修繕や空室で資金ショートするリスクが高まります。
必ず、「安全マージン」を残した額を設定しましょう。
3. TIME(時間軸):「いつまでに」と「何年間運用するか」
目標達成までの時間軸と、物件をどれくらいの期間保有する(出口戦略)かを決めます。
設定のヒント:
・目標達成時期:ステップ1のGOALと連動させます。
「5年後までに年間キャッシュフロー120万円を達成する」
・ローンの期間:「30年ローンを組むのか、または売却を前提に15年程度で組むのか」を決めます。
ローンの期間は、毎月の返済額、すなわちキャッシュフローに直結する非常に重要な数値です。
注意点:物件の築年数や種類によって、金融機関から提示されるローンの期間は変わってきます。
そのため、まずは自分の理想とする運用期間を設定し、それに合わせて物件の築年数を絞り込む、という逆算の視点が役立ちます。
3.失敗しないための実践的な「数値設定」テクニック
私のような初心者が陥りやすいのが、「夢だけが膨らんで現実的ではない数値設定」です。
これを避けるために、以下の作業を必ず行ってください。
1.「今の自分」の属性を把握する:年収、勤務先の規模、勤続年数、現在の借り入れ状況など、金融機関から見た自分の「信用力」を把握します。
これは、「FUND(借入希望額)」の上限を間接的に決める数値になります。
2.プロに「ヒアリング」する:自分で決めたGOALとFUNDの数値を、信頼できる不動産会社の担当者に伝えてください。
「私のような属性で、この目標達成は現実的ですか?」と率直に聞きましょう。
プロの意見を聞くことで、目標の現実性が確認でき、必要であれば修正できます。
3.「最低ライン」を設定する:最高の状況での数値だけでなく、「もし空室率が〇〇%になったら」「もし金利が〇〇%上がったら」という最悪を想定した最低ラインのキャッシュフローも計算しておきましょう。
これが、あなたのリスク許容度になります。
4.数値化は、あなたの「投資基準」そのもの
「具体的な目的地を数値で決める」作業は、単なる計算ではありません。
それは、あなたの不動産投資における「憲法」を決める作業です。
この憲法さえ決まっていれば、どんなに魅力的な物件の話が来ても、憲法に照らし合わせて「NO」と言える勇気が持てます。
さあ、まずは「いつまでに、月いくらの手残りが欲しいのか?」を紙に書き出すことから始めてみませんか。
この第一歩が、あなたの不動産投資の成功を力強く後押ししてくれるはずです。
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